工事が始まってから3ヶ月半が経ちます。
設計士さんが最初にこの家を調査してくださった際、家が全体的に南側に少し傾いていることがわかりまして、その傾きを直すために曳家をすることが当初の計画に入っていたのですが。
北側の壁を柱だけ残して解体したところ、柱と柱をつなぐ横の柱がほとんど入っていなかったことがわかりました。
これは設計士さんの想定外のことだったそうで。
柱と柱を横に繋ぐ柱は大抵2〜3本入っているそうですが、この家の場合ほとんど入っておらず、壁で繋がっていただけ。
そしてであるならば家の傾きは、一本一本の柱を少しずつまっすぐにしてあげることである程度修正されるはず…ということで、曳家はしないことになりました。…そもそもですが、曳家をしても傾きが修正できるかどうかは、やってみないとわからないところでもありました。。

柱と柱の間に横に繋ぐ柱を新たに入れてくれてます。
で、どうして横に繋ぐ柱が入っていなかったのか、ご先祖様が材料をケチったのか…?とかふと思ったりしたのですが、どうやらそうではないようで。
設計士さんによりますと。
たぶんではありますが、当時そういうところのやり方は大工さんごとに違っていたそうで、しかも技術ややり方は伝承されていくものなので、この家を建てた当時の大工さんたちのそれまでの経験や教えてもらってきたことから、ここの横の柱は無くても問題ないだろうと判断されたからこうなったんじゃないかな…とのことでした。
なるほど。。
ただ、やっぱりこの先この地域で大きな地震が起きる可能性はあるので、耐震補強として今回、柱と柱をつなぐ横の柱はしっかり入れてもらうことになっています。
また、解体してみて、床の下やら壁に隠れていた柱が見えてくると、アリにやられていたり、湿気で傷んだような箇所がところどころ見つかりました。
基本的に元々この家に使われているものはできるだけ残して使ってもらうようお願いしているので、多少アリにやられていたり湿気で傷んでいたりするところがあっても、補強してそのまま残してもらっています。

↑アリにやられた跡。

↑これなんかもだいぶ傷んで見えるけど、まだ使えるからそのまま。
昔の材料は今と違って一本一本が太くて大きいので、多少アリにやられたり湿気でボロボロになったとしても、芯の方までいってなかったり残っている部分がたくさんあれば、まだまだ使えるんだそう。
その辺りは設計士さんと大工さんがよく見てから判断してくれて、強度的に心配なものに対しては交換したり、補強をしてくれています。
床下の束(つか)も同様。
これまでの修繕の際に入れたと思われる束が残っているのですが、強度的に問題ないものは再利用。

↓新しい束はこんな感じ。

今回の工事の目指すところは、この家が本来持っている力を失わず、この家の力が引き続き発揮できること、またその上で今の私たちが住みやすいように、補うところは補ってもらい、直すところは直してもらう、というところ。
だから、この家が作られた当時のやり方に準ずるというのか、昔の工法で工事を進めてくれる設計事務所さんにお願いしています。
私たちが、もっともっと、と快適さを求めるならば、たぶん今の設計事務所さんにお願いすることはなかったと思いますが、この家をこの先も住み継いでいける家にすることと、私たち家族が快適に暮らせる家にすること、この両方を大事に考えて提案してくれていることは相談していく中で十分に伝わってきましたし、私たちの思いを尊重しながら提案してくれるので、他の設計事務所さんを検討する必要もなく、そのままお願いすることとなりました。
基本的には、耐震についてはしっかりと、断熱については十分だけど過度になり過ぎないようにしてくれています。風通しの良さは、古い家には大事ですしね。
キッチンやお風呂なども、機能的にはだいぶシンプルかと思います。
そうしておくことで不具合があったときにも修理しやすいというメリットもありますし、たぶんそんな感じが、この家にとっても私たちにとってもちょうどいい気がしています。
材料も県内の山の木を使ってくれてます。
ちょうど一年ほど前、この家に使われる木が育つ山を見せてもらいに行きましたっけ。

家づくりに携わる大工さんやそのほかの職人さんたちも、地元の方々。
無駄にコストをかけず、環境にも配慮した改修工事を念頭に置いて提案してくださる設計事務所さん。
出会えてよかったなぁ…と思います。
